2011/07/22

常陸秋そば

先日、平成22年度産『常陸(ひたち)秋そば』の実を1kgほど頂きました。

常陸(ひたち)とは、茨城県・北東部を指します。
昭和53年に現・常陸太田市の在来種『金砂郷在来』から
選りすぐりの種を選別、改良され誕生した品種です。
昭和60年には茨城県の奨励品種に採用され、
現在は北部を中心に県内各地で栽培されています。

早速製粉してみるとスッと上品な香りが立ち上がってきます。
昨年の11月に収穫されたものですから、もう半年以上経っているのですが!
保存技術の向上も然ることながら、さすが、その品質に驚かされます。

当然、すぐさま打って試食してみました。
蕎麦の風味というか甘味が強く、やはり上品な香りが優しく抜けていく
実に美味しい蕎麦でした。また打ちたいと思わせてくれる蕎麦です。

そして、早く新蕎麦を味わってみたい!と。


さて、この『常陸秋そば』ですが、あと一月ほどで作付けの季節となります。

いつもであれば、早く新蕎麦を試してみたいものです、と〆たいところですが、
今年はまだまだ収まる気配のない原発問題があります。

蕎麦は適期播種の期間が非常に短い(5日程度しかない)ので
判断が少しでも遅れ播種がずれ込めば、その分収穫に影響が出てきます。
情報も二転三転、農家さんは非常に辛い立場に立たされている事と思います。

素晴らしい蕎麦の産地が多くあるゆえ、この問題は非常に気がかりです。


被災された方々が少しでも早く『平和な日常生活』に戻ることができ、
現地の農家さんは、ただ純粋に良いものを作ろうという気概に燃え、
私共は『常陸秋そば』のみならず、東北の蕎麦を一線一線丁寧に打ち上げ、
何の気兼ねもなく、皆様に美味しく味わっていただける日が来ることを…!

日常があるということは、いかに尊いものなのか、
そう思わずにはいられない、蕎麦打ちとなりました。


これからもまた、現状を良く知り、変化していく状況を追うと共に、
自分達に出来る形のサポートを、小さな事からしていこうと思います。


なお、投稿の内容が今現在、最もデリケートな部分に触れているため、
拙い文章や、ご覧になった方々を不快にさせてしまう表現など
至らぬ点がございましたら申し訳ございません。

現地にはこんなにも素晴らしいものがあるのです!
というのをただお伝えしたく、ここに公開させていただいた次第です。